君君臣臣

このところ、内閣と官僚の関係について考えている。
いや、そのことだけに腐心しているわけではない。
本来、そんなことに思い煩う余裕も余暇もない。
考えなくてはいけないことは、山ほどある。
金銭をつかわずに生きる方法や、責任を負わずに生きる方法や……
そういった、人生の命題に等しい諸問題に、割りこんでくるのだ。
"君君臣臣"が。

 

古い言葉で、なにかいい言いまわしがあったな──
紛失したはずの自衛隊の日誌が見つかった件の報道に接して、そう思った。

"君"と"臣"が出てくるやつだ。


さて、この一連の紛失日誌発見だが、かなり芝居じみている。
簡単に見つかる公文書を、故意に見つけなかった。
命令者が信頼できないからだ。
このことは、以前のサマワにおける日誌の件でもあきらかだ。

当時の防衛大臣に対するサボタージュのように見える。
げんに、防衛大臣でもないのに、河野太郎氏が指示したら、あっというまに出てきた。
今回の件では、自衛隊の偉いひとたちは、謝罪はしている。
が、辞職するつりはないようだ。
──それが何か?
という声が聞こえてきそうだ──あくまで、個人の感想だが。
この個人の感想が示すのは、自衛隊が指揮者を選り好みするということだ。
個人の感想をのべるなら、文民統制が破綻している。
信頼できない上司に従うことの是非を考えなくてはいけない。
究極的には、バカ殿とともに滅ぶか、革命を起こすか、ということだ。
おおげさな例えに思えるかもしれない。
このていど、中学生が教育実習生を無視するようなものと思うかもしれない。
だが、文民統制の原則に照らせば、許されないことだ。
考えるのは文民の仕事であって、暴力装置は考える自由を持たない。
そこで、"君"と"臣"だ。


ぐぐってみると、もともとはこうらしい──

"君、君たらざれば、臣、臣たらず"

上司がおろかなら、部下は部下らしく従わなくなる。
まあ、ふつう、そうなるだろう。
ところが、のちに、こういう考え方が現れる──

"君、君たらざれども、臣、臣たらざるべからず"

上司がおろかでも、部下は部下らしく従わなくてはいけない。
ひどいはなしだ。

現政権下で起きている他の不祥事も思いおこさないわけにはいかない。
天下びとにソンタクするあまり、官僚の道を外れた人々のことだ。
道をはずれながらも、あとで見つかるように文書をかくした人々のことだ。
彼らは、保身のために、情報を隠蔽した。
だが、同時に、内部告発のために、情報を温存したのだと思う。
おそらく、ソンタクの対象を信頼できなかったから……

少々、下世話な見方をする。
官僚という種族は、大部分が、東大卒のエリートだ。
当然、学歴で人間を判別するだろう。
そう考えると、彼らが現政権を本心から信頼するわけがない。
むしろ、見下しているだろう。
にもかかわらず、ソンタクしてきたのはなぜか?
状況をひっくりかえす機を伺っている、と思わずにはいられない。

週刊誌によれば、現役の東大生は現政権を支持しているらしい。
しかし、その理由は、株価への影響だけのようだった。

世の中、間違っとるよ。
まことに遺憾に存じます。

2018/04/11

日本放送協会とぼく。

日本放送協会という団体があります。略して"にほきょ"。違います。NHKです。
NHKは、みなさんの受信料で運営されています。
受信料は、口座振替などでも支払えます。わたくしも、口座振替で偶数月に引き落とされています。
が、たまたま、引き落とし口座に残高が不足していた月があった。そういうことが二回ほどあった。
二〇〇九年の八月と十月のことだ。
NHKからは、振り込み用紙が送られてきた。私は無視した。
その後、また残高不足で引き落とせないことがあった。そのときは、後日、引き落とされていた。
なるほど、それなら、そのうち、前のぶんも引き落とすのだろう。そう考えた。
振り込み用紙は、その後も届いた。最後に届いたのは、先週だ。
最後というのは、英語のラストのように、最新の、という意味ではない。もう来ないのだ。
なぜなら、その二〇〇九年の受信料を支払ったからだ。
昨日の日曜日の昼さがり、専用端末をたずさえた青年がドアを叩いた。徴収員だった。
現金がない、と言うと、クレジットカードや、デビットカードでも対応できるという。
それなら、と銀行のカードを専用端末のスリットに通した。二度ほど、読み取りに失敗したが、端末は磁気情報を読み取り、徴収員は、テンキーで暗証番号を打ちこむよう促して、それを見てませんよ、というかんじでそぽを向いた。
かくして、ゼロ年代からの日本放送協会の悲願は果たされた。おめでとう。よかったね。
正直なところ、予想外の出費を強いられた感があり、落胆していると、徴収員が、
「どうして、このときだけ払ってなかったんですか?」
と、さわやかにたずねてきた。
「給料の口座と引き落とし口座が別なんで、振り込みと引き落としのタイミングが合わなかったんじゃないかな」
「ああ、なるほど」
もちろん、それだけではなく、積極的に受信料を払いたい気分になれない理由があった。
「あのう、実をいうと、テレビがないんだよね。というか、壊れて、それっきりで」
「いつからですか?」
「ずーっと。だいたい、地デジ契約だってしてないし、衛星も契約してない。つまり、受信しようがない。ラジオはよく聴くんだけど」
「えーと、テレビの他のワンセグが見られるものも?」
「ないね」
「それじゃあ……」
と、彼は受信契約解除の説明をしてくれた。
NHKに電話して、受信設備がないことを申しでて、郵送される書類に記入すれば、契約が解除できるかもしれない、という。
かもしれない、というのは、判断するのは、彼のいるセクションではないからだ。
まあ、たしかにそんなものだろう。
また、テレビがなかった時期の受信料が戻ってくることはないだろう、とも言った。
まあ、それもそんなものだろう。
地デジ化のあと、契約を解除する老人が増えている、という記事を読んだことはあった。しかし、具体的な手段は、わからなかった。ゆえに、惰性でそのままにしてきた。
さらば、受信料。心は踊った。
で、今日、NHKに電話してみた。
自動対応の録音された女性の声で、要件がこれこれなら何番を押して下さい、というアナウンスが流れた。
ホームページからも申し込みができます、とも言った。
口べたな私は、なんかそっちのほうがいいな、と思い、タブレットNHKのサイトを開いた。
受信契約解除という項目は、トップページにはなかった。何度かスクロールして、右上に小さな文字を見つけた。"受信料"。
リンク先は、新規で受信契約をしたり、住所変更をするためのページだった。
ここにも、契約解除の項目は見あたらない。
ふと、右のほうにある、"ワンセグ"という文字が目に入った。妙に気になって、クリックしてみた。
開いたページには、ワンセグの受信にも受信料が発生する旨が記されていた。
昨日、聞いたとおりだ。
現在、受信できるテレビはないし、ワンセグの見られるものもない。
以前はあった。
WILLCOM03というスマホの先駆的携帯電話を使っていたことがあり、ワンセグ機能もあったのだが、ほぼ機能不全状態で、今や起動すらしないだろう。
もうひとつ、PCに接続して使うワンセグチューナーがあった。これは、ひょっとするとまだ機能するかもしれない。が、PCがない。
愛用のノートPCが起動しなくなって以来、もっぱらタブレットを使用している。ちなみに、この文章は、最近、安く入手したSIMフリーのandroidスマホで打っている。タブレットスマホワンセグ機能はない。
テレビはない。ワンセグを見る装置もない。しかし、ワンセグチューナーがある。
これは、どうなんだ?
グレイゾーンっぽくないか?
もし、申請を受けた当局から査察官が派遣されてきて、ガサ入れみたいなことになったら、どうなんだ?
不安がこみあげてきた。
怖い。
あいては公共であって国営ではない、とはいうものの、国家予算を割り当てられている団体だ。
放送内容はともかく、受信料に関しては、納得できない理屈をもちだす団体だ。
たとえば、ホテルの客室にあるテレビ一台一台に受信料を取るかと思えば、一般家庭では何台あろうと、世帯主のぶんだけだ。
私の場合でいえば、地デジもBSも契約していないのに、契約の見直しもない。
そして、フルセグに比べたら不完全なワンセグも受信まで、対象だという。
どうかしている。
どんな状況どんな行動に出るか、ちっぽけなわたくしの脳みそでは予想だにできない。
結局、ブラウザを閉じた。
俺は臆病だ。
この文章の中で、一人称も文末も統一されていないのは、臆病なハートが震えているからです。

よく書くこと、濃く書くよ。

今週のお題「書くこと」

 

今、こうして文字を打っているのだが、書くことは、、簡単で難しい。

具体的に描写すると古いほうのnexus7にブルートゥース接続したシリコン製キーボードで、文字を打っている。

シリコンのキーは感触が不快だ。

ぶよぶよしていて、軽くタッチしただけでは反応しないし、しっかり押すと二度押しになる。

そのうえ、もともとアンドロイド用ではないので、いろいろ不都合だ。

では、なにゆえに、かような苦行をおのれに課したのかといえば、メインで使用していたノートPCが壊れたためだ。 

……と、ここまで書いたところで、英文入力モードに切り替わってしまった。

本体のほうで、日本語IMEに切り替えても、戻らない。

いったん接続を切って、再接続しても戻らない。

たぶん、本体を再起動すれば戻るのだが、この文章を書いている途中で、それをしたくない。

……と、何行か、スクリーンキーボードで書いている。

正直いって、シリコンのキーボードより、よっぽど書きやすい。

アンドロイド用のしっかりしたキーボードを買うか、片手で本体を持って、片手で画面のキーボードを打ち続けるか。

書くことは、簡単で難しい。

よく書くこと、濃く書くよ。

濃く書けばいいというものではないのである。